木下広大
香川県議の政務活動費に違法な支出があったとして、市民オンブズ香川が県議らに返還させるよう浜田恵造知事に求めた訴訟の控訴審について、県は16日、一審判決を受け入れ、控訴を取り下げると発表した。同様の政活費支出をめぐっては、公職選挙法に抵触するとして告発状も提出されており、県議ら29人が一審が求める返還額と告発分の政活費支出合わせて約2千万円を返還する意向も示した。
県議会の約半数の議員らが、民事訴訟で支出の正当性を訴え続けていたが、一転して一斉返還するという異例の展開となった。
高松地裁は4月の判決で、県議・元県議23人の2013年度分の政活費支出970万円分を違法と認定して返還を命じた。違法とされたのは、「意見交換会」などの名目で地域の自治会などに払っていた費用。地裁は県議らに返還させるよう知事に命じたが、県側がこれを不服として控訴していた。
十河直議長は16日、「すでに疑念を持たれたものについて、このままにしておくことは、関係者にご迷惑をおかけすることになるとともに、今後の議会や議員の活動などにも支障が出る恐れがある」などとして、「一審判決を受け入れることとした」とする議長声明を発表した。
浜田知事も「(県議が政活費を返還するのなら)訴訟を継続する意味が無くなりますので、控訴を取り下げざるを得ない」とのコメントを出した。
一方、市民オンブズ香川は6月にも県議ら21人が会合や祭りで有権者に寄付を繰り返したとして、公職選挙法違反(選挙区内での寄付)の疑いで高松地検に告発状を提出。選挙区内での会合や祭りの際に「意見交換会会費」などの名目で現金を繰り返し渡したのは寄付行為だと主張してきた。
これについても十河議長は「条例やマニュアルに基づく適正な支出と考え、公職選挙法に抵触するとの認識は一切無かっただけに誠に遺憾」としながらも、「疑義が生じるのを避けるため」と返還する意向を示した。議会事務局によると、告発された総額1626万円(18年7月~19年度分)のうち、政務活動費から支出された約1千万円を返還するという。
議長声明によれば、県議らは今後、意見交換会などの費用について、会費制の場合を除き支払いを控えるとしている。(木下広大)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル